新作音源「ドブストーリーは突然に」解説ページ

自称不要不急音楽の金字塔「ドブストーリーは突然に」

曲目

1 Starduster
2 打ち上げのモミアゲ
3 セノーの社長が見てる
4 BOX
5 垣内さん襲来
6 ストロングゼロ
7 ドブストーリーは突然に
8 ポリティカルコレクトレスのうた

曲解説

    1. Starduster
      作ったのは2015年の年末ぐらいだったと思います。まだ前嫁の闘病中。「コマロフの悲劇」というのがありまして、ソビエトの宇宙開発史を見てたら衝撃を受けまして。なんだっけ、丁度「クドわふたー」ってゲームやってたらそれが参考文献で出てきて。まあ当時の心情みたいなのがたくさん入ってます。悲劇に向かって進む運命に翻弄されてるなあ、みたいな家庭の事情があったもので。これが出来てなかったら、宇宙サービスも続けていなかったのでは。音楽も何もかも辞めると言っていたのに、なんで作ってしまったんだろうあの時期。
      そしてこの頃にちょっと打ち込みの質を上げよう、みたいな感じでいろいろ手数を増やした記憶があります。おかげでシンセ音の説得力が増しました。それどころかおれはまだ全然電子音楽に向き合っていないと痛感。今は多少向き合えたなと思ってます。珍しく謙虚に書いてますがこの曲に関しては本当にこんな感じ。
    2. 打ち上げのモミアゲ
      コロナ時期に2~3番目に考え付いた曲かな。「最低の打ち上げ」ってフレーズが出て、その駄洒落で「最低のモミアゲ」。故にモミアゲの長い最低な奴みたいな明確なモデルはいなくて。さらに一回目披露したところでボギー君(ヨコチンレーベル社長)に、「まだそんなに最悪じゃないですよね、モミアゲ」と言われて急遽歌詞を足したりしています。最悪方向に盛ってしまったのでますますモデルがいない結果に、まあいくつかの顔は浮かぶんだけど…。音源聴いたあとの嫁と「隅っこで大麻を売っている~」「その真ん中で情報商材を売りつけてる~」とかもっと悪いモミアゲの話が出だしたので、ライブでどんどんアップデートしていきそうです。
      脳内で「水中、それは苦しいが演奏したらこうなる」みたいなオケが出来上がってたので、適当に音を割り振ってギター・ヴァイオリン・ベース・ドラムパートを組んで、あとでシンセ音に置き換えて好きな音にする作業に。バッチリハマりました。
    3. セノーの社長が見てる
      現場の大量のコンクリート破砕→搬出作業中に思いついた曲。あちこちからトラックがやってきてはめいめいの方向に入って行って、「なんでこっちに来んねん」「なんでそっちに行くねん」みたいなトラブルを目の当たりにしながら突然降ってきた。この現場、下請け会社の監視カメラが常に回っておって、その情景をそのまま歌詞に。まあこういう仕事中に浮かんだ適当な歌を大掛かりにオケとか作るのって、やっぱ楽しい趣味よね!!
      まめにやっている三拍子系の打ち込み曲を今回もちゃんとやっておこうと。間奏のフレーズはずっと昔シンセパワーというバンドをやっていた時代のインスト曲のまるまる流用で、もう先も短いし出し惜しみも無しだという気分で。
    4. BOX
      ギリギリで完成したやつ。曲先だと歌詞は本当に難しくて、ジマオさんには「Hallo」なんて単語を使う爽やかな歌詞とかを作るセンスが皆無ということを思い知らされました。一時期は嫁が「刺身にご飯は合わない、醤油ご飯である」というテーマを発案、猛烈なアプローチをかけていたので押し切られていたらそうなったかも…とも思ったが後日試しにそれで作詞してみたら、やらなくてよかったと安堵。オケがもったいないわ!!ネットに流されがちな人の歌だけど語感優先で歌詞を並べたので、ありそうに見えるほどのメッセージはないです。
      音数少なめでベースとシンセの掛け合いをシャープに作ったつもり。なもので基本パターンをじっくりねっとり作った後は組みあがるのは早かった。結局シンセで作ったメロディを破棄してそれをそのまま歌メロにしたっけか。途中キーボードソロみたいな間奏にしてるのはその名残。
    5. 垣内さん襲来
      夢を見たんですよ。タコみたいな触手がいっぱいついた重機に追いかけられてる夢。後方で地響きがして、「どこなの~!」って女の人の声がする。横から当時一緒にバンドをやっていた宮下君が「駄目だ、垣内さんは何者かに操られているに違いない」と博士然とした佇まいで解説してきたんです。そうか、あのブルドーザーには垣内さんが乗っているのか。垣内さんというのはたまに対バンする垣内美希女史。その後夢は洞窟の奥で祠を発見して封印を解いたり、お土産屋さんに行ったり、バスに乗ったり転々として最後両手に買い物袋を提げた垣内さんに再会して目が覚めました。
      その夢の話で盛り上がって、宮下君のバンド「火の馬」のレコーディングの時に宮下君、星野美南さんの協力で音ネタを録音させてもらいました。5年くらい前に岩国ライブの際か何かでデモ音源を持って行ったときに収録したのが初出。埋もれてるんで手直しして持って行こうと思ったら案外完成されてて、ベースをカッコ良くしたりしつこく鳴ってた音とかを削ったくらい?まあライブ曲じゃないから埋もれちゃうのは仕方ないかな…。
    6. ストロングゼロ
      ちょっと前までストロングゼロを飲んでたんですが、買ってくるたび妻が「意識の低い酒」って呼んでて「確かに」と思ってました。手っ取り早く酔っぱらいたけりゃストゼロ一択です。一日2本飲んでた時もありましたがあの時期は荒れていたなと思う。何年か前マジでボーカルが出なくなり、もう歳かと打ちひしがれていたのですがストゼロ断ちを敢行したところその後声が出るわ出るわ。以後はたまに新しい味が出てると買っちゃう程度なんですが、飲む度「なんでこれ飲めてたんだろう…」ってくらいケミカルな味に打ちひしがれます。意識の低い酒→意識の低いヤツという発想で歌詞にしました。3番はツイッターで知り合った漫画家・桜☆一也さんが作詞していただきました。
      自分が歌ってるのを耳コピしてもらったので作曲はたまきお君です。そういえば今まで一回も「作曲:たまきお」でクレジットしたことはなく、厳密に歌メロ考えたのは自分だけど表記の字面が新鮮だったのでそういう事にします。録音してみてこれはライブ映えするなと納得。2曲目やラスト近くの起爆剤と用途も多そう。
    7. ドブストーリーは突然に
      ちょっと久しぶりに、しょうもない替え歌をやって原点回帰しようと思いました。流石にこの歳で既成曲のカラオケをバックに替え歌とかクッソ寒いので、ちゃんと自前で打ち込みましたとも。あ、最近は弾き語り用にコードを公開してくれているサービスが充実してますね。ずいぶんこれで助かりました。歌詞の内容につきましては一応はフィクションであり、モデルはいるのかという質問がありましたらノーコメントとさせていただきます。「うちの近所のババシャツ屋」なら、昔勤めてた会社夫人が節税対策で趣味でやってたあの店かな…(※生々しいわ!!)。
      さすがあの稀代のハイトーンヴォイスのヴォーカリストの曲だけあってなかなか手ごわく、倉地久美夫さんのカヴァーに近い歌唱法で何とかやり遂げました。録音は福津市の東望公園という山の頂上付近にあるような公園の駐車場の隅っこに車を停めて人知れず行ったんですが、流石に内容が内容だけにこの曲の時は一層周囲に注意して行いました。なぜか犬がやってきました。
    8. ポリティカルコレクトレスのうた
      去年の正月になんか安かったんでACIDを今更買ったんですよ。ここ最近、気に入ったリズムパターンを無理くりタイムストレッチかけて…の作業が年々苦痛になって行って、結果シンプルな打ち込みに終始しがちみたいなことの多かった自分にとってまあ救世主およびカンフル剤になったわけです。まあ一曲くらい適当にワンフレーズ歌ったやつを3分くらいに仕上げる作戦やってみようか、という軽い気持ちがこれに。ポリティカル・コレクトネスについては別に思い入れも何もありません。村の掟、くらいにしか…。おまけにCD作って売った次の日に「ポリティカル・コレクト”ネ”ス」であることを知りました。そんなものなので一切修正はしません。
      そう、最初は2分半が目標、長くても3分くらいでまとめるつもりだったわけですよ。気が付けば4分に…しかもわざわざ歌いなおしてボーカルがコーラスになってるし、ノイズは入ってるし、妙な展開になってるし。あと着手したのが締め切り前日なんですよこれ。なんでそこまで拘る?まあ最初に思いついた「ポリティカ~ル コレクトレス~」が頭から離れなかったからか。コレクトネスなのに。

作品解説

2年半前に大変ありがたい縁がありまして再婚致したんですが、カーステレオで自分の音源を聴きたがるというこれまた大変ありがたい事をして下さるわけです。「最近の曲も聞きたい」という家庭内の事情から一気に話が膨らんで生まれました。コロナにより荒み切った世界情勢と日本経済がどうとかいう大袈裟な大義名分などありません。割と「家で肉じゃが作り過ぎたからお裾分けすっか」のノリであります。世界がこんな感じのほんわか承認欲求で満たされますように。まあほかにも事情があるにはあるんですが(聴けばわかるけど)配信等は行いません。
(ニシジマオ筆)